科学物質の本性
みなさんは化学物質と聞くとどのようなものを想像しますか?
人体に有害なもの,危険なものなどのイメージがあるかもしれません。
今回は化学物質とはなにか・我々の生活にどのように関係しているのかを紹介します。
まず,皆さんに一つ質問します。以下のものを聞いてどのように思いますか?
「DHMO」
・水酸と呼ばれていて,酸性雨の主成分
・温室効果を引き起こす
・やけどの原因となる
・多くの物質の腐食を進め,さび付かせる
・電気事故の原因となりうる
・防火剤として使用される
・原子力発電所で使用されている
・吸引すると死亡する
これを見て,このような危険な物質は規制すべきだと考える人は多いでしょう。
しかし,この物質はなんと「水(DHMO=dihydrogen monoxide)」なんです。
化学物質と聞くと,人は何か危険なものではないかと過剰に反応しすぎてしまいます。確かに危険なものも多くありますが化学物質の定義からすると一概に危険なものとは言えないのです。
定義
- 広辞苑(第7版) ①物質のうち,特に化学の研究対象となるような物質を区別して言う語 ②科学工業で合成される物質,あるいは人口の物質
このように科学物質とは,元素が結びついたものと捉えることができます。そのため危険なものばかりではありません。
科学物質を理解するのに大切なこと
- それぞれの化学物質の化学的な性質を知ること (物性,毒性,作用等)
- 科学物質のリスクを知る (曝露量と毒性,対象による)
- 科学物質使用の影響と効果を広く公平に考える (使用による悪影響と不使用による機会損失等)
- 科学的,理性的,合理的に考える (感覚的思考は時々正しくない判断をする)
日本の化学物質管理に関する法律
日本の水質基準を水道水(水道法51項目),清涼飲料水(食品衛生法26項目),ミネラルウォーター(食品衛生法18項目)比較すると,適用される法律が違うため細菌や鉛,亜鉛などといった物質の許容範囲が異なってきます。
しかし,化学物質の基準値というのは動物を用いた毒性検査を行い,無毒性量を決めます。これによりADI(一日摂取許容量)を無毒性量の100分の1として決めます。
こう考えると,人体に影響の出始める量の100分の1で使用基準を定めているため安全が保障されているといえます。
このように科学物質というのは正しい理解が必要となります。